こんばんは、吉田です。


今日も今日とて行くはホール。
氷点下を下回る中でも冷めやらぬ熱が俺の歩みを促す。
打つのはいつもと変わらず1パチ甘デジ、しかし今回はいつもと違い6000円の所持金があるため、盤石の代名詞と言ってもよいだろう。

ちょっと珍しい乙女フェスティバルの甘デジがあったので打ってみると2000円がガブガブと呑まれ、台移動を繰り返す。
3000円が呑まれた所で身体を倦怠感が襲う、学習性無力感と言う奴だろうか、染み付いた敗北の臭いはタバコの煙よりも鼻につくし、取れにくい。


最早勝ちを望むのでは無く負けを減らす事に意識が向き始める。
投資が4000円を超えた所で一度も当たらないフラストレーションに頭が熱を持った。
俺の理性は既に砂上にあるバスティーユである。
打ち壊そうと思えばすぐにでも可能で、厭わず獣性を開放できるだろう。

台を通して先人が拓いた地獄へ続く道が見える。
そこを踏み固めて舗装する自分の姿も見えて、暗澹たる心持ちになった。


打ち震える心は時化の海に安らぎを求める。
長い待ち時間ののち投資4800円、ようやくの当たりである。
そこからは溜まりに溜まったストレスをどこかにやる様に連チャンをした。
電サポを抜けてもすぐに当たるので、遂に投資分を回収してしまった。

勝利は怒りをぼやけさせて、鋭く尖って刃じみた心は錆び付いて何も切れなくなってしまった。

そこからはウイニングランである、打ち続けて打ち続けて......




気付けば出玉は全て消えてしまった。
俺は幻覚でも見ているのか。

景色がぐらぐら揺らぐので、残りの1000円を20スロのハナハナに呑ませた。
何故か金を持ち帰りたく無かった。
最後まで勝ちを諦めようとしなかったのか、どうなってもいいやと言う破滅願望が俺の背中を押したのか......

今となっては分からないが、敗北した俺は何でもないような顔をして泣いていた、無論心で。
禍福は糾える縄の如しとは史記の言葉であるが、余りにも縄が強固だったもので、ほどいて帰ることが出来なかった。





それではまた今度。