こんばんは、吉田です。


いつものようにホールへと向かう俺。
平常ではない事と言えば、前日15分程しか寝ていない事と、手持ちがいつもの倍の6000円あるのでバチバチと火花散る勝負が出来そうな事くらいか。

睡眠が不足した疲れからか亡者の様相で向かう先はホールではなくとある寺。

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ここは総持寺と言う所らしい。
かなり巨大な建物がいくつもあり、広大な敷地に7、8つくらいはあった気がする。

何故眠い目をこすりながら来たのかと言うと、鶴見のホールに行く時にまれにここを通っているのに、一度も入った事が無かったからである。

別に寺社仏閣にさほど興味があるわけでは無いのでただの気まぐれではあるが、建物が巨大なせいか荘厳な雰囲気がしたような気がした。

とりあえず本堂で線香に火をつけて巨大な釜に添え置き、手を合わせる。
そして今から考えれば不可思議な事だが、俺は寺なのに願い事をしたのである。
そう言った願い事は神社、八百万の神々の領分であろうが、まあ仏も涅槃に到達してるのだから、寛大な御心で許してくれるだろう。

ちなみに願い事は“何かいい事ありますように”だ。
なんだか抽象的でふわっとしていて、具体例を出すよりもいいと思ったのである。

例えいい事が無くとも、この後食べたご飯がいつもよりちょっと美味しかったとかで“何かいい事”と出来るので、夢を叶える事のみに特化した願いだ。

にしても寺社仏閣巡りは悪くないが、めちゃくちゃ楽しい訳でもない。
まあ当たらないパチンコを打っている時よりは何十倍も有意義で楽しいかな、なんて事を思いつつ総持寺を後にした俺は、その足でホールへと向かった。



打つ台はまず身体を暖める緩い台が良い。
とりあえず5スロで、普段20スロではあまり打たないような台を...

これが良い、まごころを君に2だ。

とりあえず1000円札を投入、この店は500円(100枚)から貸してくれるので、ボッタ店にしては割と優しさがある。

とりあえずぽちぽちと打ってみると、数十ゲームでレギュラーを引いた。今流せば100円くらいは勝ってるだろうか、だがこれは食前酒として打っているので、まったく持ってやめる気はない。換金は500円からなので交換したら金では無く飲み物になってしまうし。

持ち玉でSBB、5スロでも一回引けば2000円なので、正直嬉しい。

そこからも調子が良く、一箱を積んで下皿に3、400枚程入っている状態になった。

...もしかして、仏さま...?
祈りを叶えてくれたのか、今まで溜めた10連敗でくすぶりつづけて溜めた穢れが解放したのか分からないが、とりあえず今はあるがままを受け止めるべきだろう。

そして下皿が崩壊しかけた所でSBB、そこからレイチャンスも引けるしボーナスに繋がる。

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数珠でこんなに出したのもいつぶりだろうか、1G連なんかもかましたので、100ゲームまで回してヤメ。

流してみると、2400枚。
11500円の勝ちである。

もう以前勝った事すらおぼろげなのに、1万円以上勝ったなんてなると最早幼稚園の頃の記憶と同義だなあと思ってホールを出た。


そして家に...帰らない。
浮ついた足取りで街を徘徊する、なんてったって浮かれているから。
自分のヒキか仏の御心かは分からないが、とりあえず心中渦巻くのは万能感である。

ならば2店舗目に行っても...良いのでは無かろうか。
1パチならばそんなに負けないだろう、なんだったらちょいパチでも良い。

と言うわけで徘徊を経て2店舗目へ。
ちょいパチリングを打ったり、甘海を打ったりしていたらば2000円がペロリと舐めとられてしまった。


ここで俺は別の台に目が行く、20スロのジャグラーである。
無論打った時点で修羅の引き金を引く事になるのは間違いない、だがしかし今の俺には勝ちが浮ついている。
つまり低投資で勝った為にバチバチの勝負をした感じが無いので、勝利の表面しか味わえていない気分と言うわけだ。

しかし仏に縋ってまで得た勝ちを無碍にするのは勿体無い、なので鎖で自分の中の獣を縛り上げる事にした。

“甘デジを打ち、1000円で当たらなかったら20スロを打つ“と言う鎖を付けた。
当たって取り返せればもうけものだし、当たらなかったらそれはその時考えれば良い、先延ばしにしておこう。
運命の分かれ道を託すのは沖海4甘。

投資600円 当たり。

これでジャグラーを打たなくて良くなった、ありがたい。
そこから4連して1800発ほど出た。
投資が2600円なので、今やめれば800円負けで済む。

はずだった、気付けば持ち玉もパッキーもどこかの暗闇に呑まれていった。
こうなってしまっては先ほど自分に取り付けた鎖などは無意味、獣は鎖を引き千切り、修羅の引き金に指をかけた。


20スロのゴーゴージャグラーへ向かった俺は、下皿に折り畳んだ4000円を置き、地獄への道を進みはじめた。

投資3000円 ヤメ。

イヤな予感がしたので店舗移動、次。

乙女Aとジャグラーを打つ、光らない。
追加したのは6000円。


...最盛期17000円あった手持ちが、5000円になった。
元々6000円あったので、マイナス域である。
現状が夢である事を願うが、口内の渇きが俺を現実と呪いの狭間に引き戻す。

今から1円パチンコのミドルを打とうにも時刻は9時、当たる気もしなければ取り切れる気もしない。
実質レートは20しか見えていない。
引き金を引いた俺が5000円で帰れるはずも無いので、悲壮な気持ちを抱えながらまた別の店舗へ。
もう店舗を移動する気は無い、勝つにしろ負けるにしろ、ここが終われば次の目的地は家である。

選んだのはマイジャグラー3、もし仮に光った場合、ガコッ!と音が鳴ってしまうと恐らく今の俺は失神してしまうと思ったので無音で光る優しい台を選んだ、地獄への道は善意で舗装されている。

魂の5分の1である1000円札を投入、出てきた47枚は俺の矜恃の残滓だ。

ペシペシと押していると上段にバー、バー、7と揃った。
傷付けられたランプからはぼやけた光が見えた。

ピエロが戯れに吐く酸素を求めて、数少ない酸素を持って我慢比べをしていた俺はようやく救われたのである。

1枚掛けをして、中、左に7をテンパイさせる。
右に7とバーの塊が来るタイミングだけ確認しておき、リールを見ないように少しだけうつむき、第三停止ボタンを押した。



無情の音が流れた。



俺は叫んだ、心の中で。




この104枚はどうすれば良いのか、まあ注ぎ込むしか無いだろう。
俺は真顔でレバーを押してボタンを止める作業を繰り返した。

10回目、さしたるリーチ目も無く、ランプが妖しく絢爛に光った。

1枚掛けボタンを押してレバーを押すと、ランプが点滅しはじめた。
ゾワゾワと脳に快楽が訪れるのを感じた、プレミアだ。
右下段に7をテンパイさせて揃えるとファンファーレが俺を祝福した、まるでパレードのようだ。

その後は100ゲームまで回してヤメ、これくらいのお遊びは許されるだろう。

流すと293枚、47枚貸しの等価なので6000円、これで丁度手持ちが1万円になるはずだ。

...残りの手持ちは4000円、少し遊べないか...?

修羅の引き金は妥協を赦さない、俺は4000円を持ってもう一度地獄のフチをなぞりに行った。

マイジャグラー4を1000円分打った後ゴーゴージャグラーへ、雪辱を果たしに来たのだ。
道化師と俺、どちらが踊るかの勝負である。

2000円目を入れた所で、先程までうんともすんとも言わなかったチェリーでいとも簡単に刺さった、ここからが重要である。

中を押して、第二停止を左にすれば第三停止までビッグかレギュラーかは分からないが、右の場合は7が下段に来なければ大体レギュラーである。

俺は強気に右を押すと、7が下段にテンパイした。



俺は叫んだ。


快哉である。




今回は100ゲームまで回すつもりなど無い、0ゲームで払い出しボタンを押した。
結局手持ちは15000円まで戻った。
今度こそ本当に終わりである、外へ出ると一陣の冷たい風が吹いて、額にうっすらと滲んだ汗の存在を知った。






それではまた今度。